社員の国内旅行業務取扱管理者資格取得をどう支える?仕事と学習を両立する育成計画

知る。
2026年10月21日
国内旅行業務取扱管理者 社員研修 資格取得支援
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育成計画を話し合う研修担当者と社員のイメージ

「教材を配ったものの、学習が進んでいるか分からない」「試験直前になって、苦手科目が残っている」。社員の国内旅行業務取扱管理者資格取得を支えるには、講座を選ぶ前に、担当する業務、科目別の現状、学習に使える時間を整理することが出発点です。

会社が用意したいのは、全員に同じ勉強量を求める仕組みではなく、社員ごとの課題に応じて支援を変えられる環境です。この記事では、研修・教育担当者に向けて、仕事と学習を両立する育成計画の立て方、進み具合の確認方法、講習を相談する前の準備を紹介します。

社員の資格取得支援は、担当業務と学習の出発点から考える

最初に「誰に、どの仕事を担ってほしいか」を確認します。資格を取ることだけを目標にすると、受講後にどの業務で知識を使うのか、どの分野を重点的に学ぶのかが曖昧になりがちです。

例えば、国内旅行の商品や手配に関わる社員なら、日頃扱う運賃・料金と学習内容を結び付けて考える。将来の担当者を育てるなら、現在の業務では触れていない法令や約款も含めて、基礎から確認する。こうした整理を、本人と上司・教育担当者で共有しておきます。

国内旅行業務取扱管理者試験の科目は、法令、約款、国内旅行実務の3つです。仕事の経験が長いことと、すべての試験科目を理解していることは同じではありません。経験年数だけで受験準備の進め方を決めず、教材や公式の出題例を使って確かめましょう。

試験科目・受験区分は、全国旅行業協会(ANTA)の国内試験受験案内で確認できます。国内と総合のどちらを目指すかも、会社で想定する業務と本人の取得状況を踏まえて整理します。

育成計画に入れたい4つの準備

1.目的を決める:取得後に担う仕事を言葉にする

「次回の試験を受ける」に加え、学んだ知識をどの場面で生かすのかを一文にします。例えば「国内旅行の取引条件を、根拠を確認しながら理解できるようにする」というように、本人が学ぶ意味をつかめる表現にすると、復習する内容も選びやすくなります。

2.現状を知る:科目と、間違えた原因を分ける

初回の演習では、合計点だけを集めず、受験予定の科目ごとの正答状況を確認します。そのうえで「知識があいまい」「条件を読み違えた」「計算の途中で止まった」「時間が足りなかった」のどれに近いかを残します。

科目免除の有無が違う社員を同じ合計点で比べたり、別の問題集の得点をそのまま順位にしたりすると、必要な支援を見誤ります。演習した教材・範囲・条件も一緒に記録しましょう。

3.時間を確保する:短い復習と通し演習を分ける

用語の確認や誤答の読み直しと、時間を測って問題を解く練習では、必要なまとまった時間が異なります。週の予定に両方を入れ、繁忙日や出張が重なるときの振替先も決めておきます。

勤務との両立を本人の工夫だけに任せず、業務の山場、講習に参加できる日、社内で学習に使える場所などを確認します。残業後の無理な詰め込みや、睡眠時間の削減を前提とせず、本人と相談して続けられる量に調整しましょう。

4.支援を選ぶ:共通の課題と個別の課題を分ける

複数の社員が同じ分野で止まっているなら、その内容を共通の学習機会にまとめる方法があります。一方、ある社員だけが苦手な箇所は、問題の解き直しや教材の確認を中心にするなど、支援を分けて考えます。

教材を読み直しても説明できない箇所が残ったら、その問題や疑問点を整理して講習の相談材料にします。最初に全員一律の受講内容を決めるより、何を理解できるようにしたいかを先に共有することが大切です。

目的を決め、科目別の現状を知り、学習時間を確保して支援を選ぶ。この流れを、演習結果に応じて見直していきます。

目的・現状・時間・支援の順に、社員の資格取得支援を進める流れ

最初の4週間で、会社の支援体制を整える例

次の表は、受験勉強全体の期間ではなく、会社が支援を始めるときの進め方の例です。4週間で合格できるという意味ではありません。試験までの期間や社員の状況に合わせて、各段階の長さを変えてください。

時点 社員が確認すること 会社が整えること
1週目 受験予定科目と、初回演習で止まった箇所 取得目的、対象者、繁忙期を共有
2週目 苦手分野の根拠を調べ、同じ種類の問題を解き直す 復習する時間と、相談できる相手を決める
3週目 時間を測って演習し、誤答の原因を記録 共通してつまずく分野を整理し、講習の必要性を検討
4週目 解き直した問題を説明できるか確かめる 次の学習内容と、業務調整・外部への相談事項を更新
支援を立ち上げる4週間の例。本会編集による提案です。

計画が遅れたときは、残りの学習を一律に詰め込まず、どの分野に戻る必要があるかを見直します。講習の受講日数だけで予算や予定を組まず、その前後の演習と復習も含めて考えましょう。

進み具合は、得点・原因・次の行動で確認する

「何時間勉強したか」だけでは、理解が進んだかは分かりません。週ごとの確認では、科目・演習した範囲・得点または正答状況・誤答の原因・次にすることを、簡潔に共有する方法が考えられます。

例えば「国内旅行実務の運賃計算を演習。計算式の選び方で止まった。次回は、条件を整理して途中式を残す」と記録します。この例は説明用で、実際の受講者データではありません。点数が伸びないときに、問題を増やすべきか、基礎へ戻るべきかを考える材料になります。

確認の場では「まだできない」で終わらせず、次に本人がすることと、会社が用意する支援を一つずつ決めます。記録のための記録にならないよう、次の行動を決めるのに使う項目へ絞りましょう。

同じ不正解でも、知識の確認が必要なのか、読み取り方を変えるべきなのか、時間配分を試すべきなのかで、次の支援は変わります。

誤答の原因に合わせて、次に取り組む復習を選ぶ例

科目ごとの復習は、国内旅行業務取扱管理者の難易度・合格率と科目別の勉強方法で具体的に紹介しています。時間を測る演習を始める段階では、CBTの時間配分・解く順番と練習法もお使いください。

合格者の経験から考える、仕事と学習の両立

本会が2024年度の合格者に伺った取材では、フルタイム勤務と家事・育児を両立していたHさんが、限られた時間の中で、得意な国内地理より、JRなどの運賃・料金分野を優先して学習したと話しています。添乗の経験があっても、試験に必要な知識は改めて学ぶ部分があったという経験も語られています。

この経験を会社の育成計画に生かすなら、社員の職歴だけで「知っているはず」と決め付けず、得意・不得意と学習できる時間を個別に確認することがポイントになります。詳しくは2024年度の合格者インタビュー第2弾をご覧ください。

同じく2024年度の取材で、Oさんは独学では理解に時間がかかった国内旅行実務に絞って講座を選んだと話しています。こちらは、課題を見つけてから学習手段を選ぶ参考になります。合格者インタビュー第1弾で、学習の工夫を紹介しています。

いずれも個人の経験であり、現在の講習内容や、すべての社員に当てはまる学習量を示すものではありません。社内で一律の長時間学習を求める根拠にせず、自社で必要な支援を考える材料としてお読みください。

会社の講習手配と、本人の国家試験申込みは別に進める

社員向けに講習を手配しても、国家試験の申込みが済むわけではありません。2026年度のANTA受験案内では、2025年度から、学校・会社などの代表者が10人分以上の受験手数料等を一括で振り込む団体受験扱いを廃止し、個人受験のみとしています。

会社は、受験予定年度の公式案内を本人が確認する機会を設け、申込みや予約が完了しているかを本人に確認しておくとよいでしょう。科目免除がある場合は、申請・審査と試験日・会場の予約を含めて、該当年度の手順を確かめます。

社内で共有するのは、受験予定日、手続きの完了状況、会社の支援に必要な項目にとどめる方法が考えられます。本人のログインIDやパスワードを集める必要はありません。

制度と手続きは、ANTAの2026年度受験案内(PDF)をご確認ください。本会の講習案内でも、国家試験の手続きは受講者自身で行うようご案内しています。今後受験する方は、受験する年度の最新情報で確認してください。

社員向け試験対策講習を相談する前に、整理したいこと

社内で共通する苦手分野や、自習だけでは理解が進まない箇所が見えたら、外部講習を検討する材料になります。お問い合わせの前に、次の内容を分かる範囲でまとめておくと、相談したいことが伝わりやすくなります。

  • 会社名・担当者:連絡先と、対象社員の担当業務
  • 目指す試験:国内・総合の別、受験予定年度、免除の有無
  • 予定人数と受験経験:初受験・再受験、現在の学習状況
  • 希望時期:講習を検討する時期と、繁忙期などの日程上の条件
  • 困っている分野:法令・約款・運賃料金など、共通の疑問点
  • 相談したいこと:実施方法、対応内容、費用など確認したい点

すべてが決まっている必要はありません。「人数は調整中」「受験する科目を確認中」など、未定の点も含めてお知らせください。

全国農協観光協会では、2026年度の通常の国内試験対策講座は休講していますが、会社単位やまとまった人数での受注講習はご相談を受け付けています。実施可否、対応内容、人数、日程、費用等は個別にご確認ください。

お問い合わせの際は、「国内旅行業務取扱管理者の社員向け試験対策講習について」とご記入のうえ、予定人数・希望時期・学習上の課題をお知らせください。

教育研修のお問い合わせ:03-5297-0324(平日9:30〜17:00)

社員の資格取得支援について、よくある疑問

全員に同じ講習を受けてもらうべきですか?

受験予定科目と理解の程度を確認してから検討しましょう。共通の基礎を学ぶ機会と、各自の苦手を解き直す時間を分ける方法もあります。具体的な講習の対応範囲は、相談時にご確認ください。

勉強時間が取れない社員には、どのような支援ができますか?

短い時間で行う復習と、まとまった時間が必要な演習を分け、業務の繁忙期と照らして予定を組みます。予定どおり進まなかった理由を確認し、学習内容と業務側の調整を一緒に見直すことから始めましょう。

会社単位の講習と、国家試験の団体受験は同じですか?

別のものです。会社で講習を手配する場合も、国家試験は本人が該当年度の受験案内に沿って申込み・予約を行います。本会が国家試験の申込みを一括代行するというご案内ではありません。

試験対策講習を受ければ、科目免除になりますか?

本記事でご案内する試験対策講習は、科目免除に関わる所定の「国内旅行業務取扱管理者研修」とは異なります。免除の対象や必要書類は、ANTAの受験案内でご確認ください。

会社ができる支援は、教材や受講の機会を用意することだけではありません。本人の課題を確かめ、学ぶ時間を整え、次の行動を一緒に見直す。その積み重ねを、資格取得と、その後の業務での学びにつなげていきましょう。

制度・講習情報の確認日:2026年10月20日。制度の説明は2026年度の公式案内に基づきます。育成計画・演習記録・支援方法は本会編集による提案です。受験年度の最新要項と講習案内をご確認ください。

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