添乗を任せる社員を育てるには?旅程管理研修と実務経験の計画

添乗を任せる社員を育てるには、「担当する旅行」「旅程管理研修の受講」「要件に合う実務経験」「社内での指導」を、一つの育成計画にまとめることが大切です。主任添乗員として任せる場合は、研修の修了に加え、所定の実務経験などの法定要件と、旅行業者による選任を確認します。
「添乗を担当できる社員が限られている」「営業や企画の担当者にも添乗を任せたい」「新入社員をいつ受講させるか迷っている」。こうした課題をお持ちの経営者・教育研修担当者へ、全国農協観光協会から、受講を現場での育成につなげる準備をご案内します。
育成計画を立てるときの3つの問い
① 誰に、いつ、どのような旅行の添乗を任せたいか
② 研修と所定の実務経験を、どのように組み合わせるか
③ 受講者・担当者・指導者が、それぞれ何を準備するか
誰に、どの旅行の添乗を任せたいかを決める
最初に決めたいのは、「誰を受講させるか」だけでなく、その社員に将来どの業務を担ってほしいかです。国内旅行か海外旅行か、どの企画旅行に同行する予定か、いつ頃から担当を任せたいかを整理しましょう。
営業・企画と添乗を兼務する社員であれば、普段の業務を誰が引き受けるかも考えます。受講日だけを空けるのではなく、学習、実務経験を積む機会、現場での指導を勤務計画に組み込むことで、本人と職場が準備すべきことが見えてきます。
あわせて、本会の受講資格に該当するかを確認してください。バス会社やホテルの従業員であれば全員が対象となるわけではありません。旅行業部門での勤務や旅行業者からの選任予定など、具体的な立場から判断します。
研修・実務経験・社内OJTの役割を分ける
旅程管理研修:法令と実務の考え方を学ぶ
登録研修機関の研修では、旅行業法・約款、旅程管理業務など、選んだ課程の科目を学びます。本会では集合研修とオンデマンド研修を実施し、所定の修了基準を満たした方へ研修修了証明書を交付しています。
実務経験:法定の条件に合う経験を確認する
旅程管理主任者として選任されるには、研修修了とは別に、所定の実務経験などの要件を満たす必要があります。経験の内容、実施時期、回数を所属先で確認します。単に旅行へ同行したことだけで、要件を満たすと判断しないようにしましょう。
条件に応じて、研修修了前の経験や、要件に適合する者の指導による相当の実務研修を扱える場合もあります。研修と経験の順序を決めつけず、制度を確認して計画します。詳しくは「旅程管理主任者になるには?受講資格・研修・実務経験の進め方」をご覧ください。
社内OJT:自社の仕事の進め方を身に付ける
OJTは、職場で実際の業務を通じて行う指導です。自社の連絡・報告のルール、行程表の確認方法、緊急時の連絡先などを学び、任された場面でどう行動するかを確かめます。社内OJTが法定の実務経験に該当するかは、別途確認が必要です。
混同せずに、並行して準備する
研修修了 + 条件に合う実務経験などの確認
→ 旅行業者による主任の者としての選任へ
社内OJTでは、自社の手順や判断・報告の仕方を指導します。法定要件の確認と、現場で業務を任せるための育成を合わせて進めましょう。
担当者・受講者・指導者の役割を決める
受講者本人に全ての調整を任せず、教育研修担当者と指導者の役割を明確にしましょう。指導者は経験年数だけで決めず、予定する指導内容と、法定の実務経験として扱う場合の条件を踏まえて確認します。
| 役割 | 準備すること | 現場につなげる確認 |
|---|---|---|
| 教育研修担当者・上司 | 担当予定の旅行、受講課程・時期、勤務調整、費用と手続きを整理する | 実務経験の機会と記録方法、選任に向けた要件確認の担当を決める |
| 受講する社員 | 講義・視聴・復習・試験の予定を立て、必要書類や教材を確認する | 疑問や苦手な場面を整理し、指導を受けて学んだことを振り返る |
| 現場の指導者 | 指導する業務と確認する場面を整理し、本人・上司と共有する | 判断や報告の様子を確かめ、次に練習する点を伝える |
少人数の受講と、貸切・地域合同研修の選び方
少人数なら、既存の開催予定から選ぶ
受講する社員が少人数の場合は、まず集合研修とオンデマンド研修の開催予定を確認します。まとまった日程を確保して会場で学ぶか、公開期間中に講義動画を視聴する時間を確保するか、勤務の状況に合わせて検討してください。
オンデマンドでも修了試験は対面です。公開期間だけでなく、試験日と会場への移動も勤務予定に入れましょう。比較のポイントは「旅程管理研修は集合とオンデマンド、どちらを選ぶ?仕事と両立する受講計画」でご案内しています。
まとまった受講予定があれば、貸切・合同開催を相談する
本会では、通常の年間スケジュール以外で行う受注型(貸切)研修についてもご相談を受け付けています。自社会議室での実施、グループ会社や同じ地域の複数の旅行会社による合同開催などが選択肢になります。
講義部分をオンラインのライブ・オンデマンド形式で行うことも相談できますが、修了試験は対面です。希望時期、場所、人数、必要な課程を整理してご相談ください。実施の可否、会場の準備や費用負担などの開催条件は個別に確認します。
申込み・開催相談の前に整理すること
社内の受講計画や貸切研修の相談では、次の情報をまとめておくと、検討する形式と確認事項を整理しやすくなります。全てが確定していない場合も、決まっていることと未定のことを分けておきましょう。
- 目的:誰に、どの旅行の添乗を、いつ頃から任せたいか。
- 受講予定者:人数、所属・業務、受講資格、国内課程修了などの状況。
- 必要な課程:国内・総合・総合〈国内免除〉のどれを検討するか。
- 時期と場所:希望する時期、勤務を調整できる日、利用できる会議室や地域。
- 学習と費用:講義・復習・試験の時間、受講料、交通・宿泊・会場・通信等の負担。
- 現場での育成:実務経験を積む機会、指導者、経験と社内OJTの記録・確認方法。
申込手続きを誰が行うか、必要書類を誰が用意するか、連絡を受け取る窓口も決めます。本人が学習へ集中できるよう、教育研修担当者が勤務と手続きの両面から支えてください。
添乗の前後に、社内で確認と振り返りを行う
ここでは、会社で考える社内指導の例をご紹介します。本会の研修カリキュラムや、法定の実務経験の認定条件を示すものではありません。担当させる業務と本人の理解度に合わせて、会社で内容を決めてください。
- 出発前:行程表と手配内容、集合場所、人数確認の方法、会社・関係先への連絡手順を一緒に確認する。
- 現場での指導:施設との連絡や案内の伝え方を確かめ、予定変更の際に何を確認して誰へ報告するかを説明する。
- 帰着後:報告・精算を確認し、本人が迷った場面と指導者が気付いた点を振り返る。
振り返りは「できた・できなかった」だけで終えず、「どこで判断に迷ったか」「次回は何を先に確認するか」を本人の言葉で整理します。次に任せる業務と、引き続き指導する業務を決め、上司・本人・指導者で共有しましょう。
社員の添乗育成でよくある疑問
社員一人からでも研修を検討できますか?
本会の受講資格に該当する方は、既存の集合研修・オンデマンド研修を検討できます。希望する課程や開催回の受付状況、催行条件は各研修の案内で確認してください。
社内で同行させれば、法定の実務経験になりますか?
同行したという事実だけで判断できません。業務内容、時期・回数、指導の条件などを踏まえて所属先で確認します。社内教育のための同行と、法定要件として扱う経験は分けて整理しましょう。
貸切研修は、どのような内容を伝えて相談すればよいですか?
希望課程、人数、時期、場所、会場を用意できるかなどをお知らせください。地域の旅行会社と合同で受講する構想も含め、受注型研修の案内に記載する窓口へご相談いただけます。
社員の受講計画を、具体的な相談へ
受講予定者と必要な課程、時期・場所を整理して、研修の受け方をご検討ください。
2026年10月15日現在の公開情報をもとに作成しています。受講条件・開催条件等は変更される場合があるため、申込みや開催相談の前に最新の研修案内をご確認ください。
